新・宇宙戦略概論(初版) 1章を読み終えた
タイトル通り,新・宇宙戦略概論 の1章を読み終えたので記録する.
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計測
かかった時間:2:54
ページ数 :38p
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雑記
序文では,読者の想定についての書き出しとともに,
宇宙には夢とロマンと芸術がいっぱい詰まっています。
と,具体例を添えた内容から始まり,各章の概要と書くに至った経緯が記載されている.各章ごとにどのような観点でまとめたのかが書かれており,序文を見返しながら1章を読み進めた.
1章「国家戦略と宇宙政策」
1-1 政策の階層と課題
国としてどのような政策が行われているのか,という解説から始まる.政策としては期間経営計画と同じ構成で計画,遂行されているようだ.内容についてはざっくりとした概要だけ記載されており,詳細は言及されていない.
私は政治に無関心なので,”国家目標”と出てきて「はて?」と思ってしまった.内閣府のとあるページでは,宇宙輸送システムを例にあげリンク先のように紹介している.「定められた成果目標の達成状況」の”成果目標”のことを指しているのだろうか.(わかる人がいたら教えて頂けませんか)
戦略全体がどのように成り立っているのかという部分に関しては,図もあるので理解しやすい.
国家戦略を遂行する上での課題として「宇宙システムの整備が遅れている」「宇宙2法をもとに宇宙産業の振興を図る」という2つが挙げられている.
また,宇宙利用をするにあたって必要なシステムと不足しているシステムが,図を用いて記載されている為わかりやすい.宇宙利用については,人工衛星やロケットの打ち上げのほかに,安全保障戦略なども考慮されているようだ.ひとまずさらっと読み進めることにした.目次を見る感じ,安全保障については4章,5章でも大きく触れられるようなので.
宇宙産業の振興については,民間企業がどのような形で参入しているかの一例も挙げてもらえていたら,後半に「あー,じゃあこういう場合国家に危害が加えられそうだなー」とか面白可笑しく思い描けてたかもしれない(そういう趣向の本でないのは明らかだけど).民間企業が参入する上で守らなければいけない規定を設定し,その範囲内で振興できるように,という思いをざっくり感じた.
その後は,宇宙法の名前が国ごとに列挙されている.内容までは触れられていないので,気になるものがあれば調べてみるのも面白いかもしれない.
1-2 国家戦略と宇宙政策について
ここの冒頭で国家戦略とは何を指しているのかが明示されている.各項目ごとに簡単に説明されているのでありがたい.
また,国家安全保障戦略という言葉がかなりの頻度で出てくるが,都度関連する部分が記載されているので改めて調べなくてもほとんど問題ない内容になっている.政治に関心がない人は,教養程度に読み進めても良いのではなかろうかと思う.
国家安全保障上の課題とされている6項目について,それぞれどのような対策が取られているのかは興味が出た部分で,例えばサイバー関連は人的基盤の強化などと書かれているが,どのように強化しているかは気になるところだ.
ググったら昨年の12月18日の内閣官房の資料が出てきたが,p4に以下の記載があった.
海洋(海賊対処、海洋状況把握等)、宇宙(宇宙状況把握等)、サイバー等の分野においては、引き続き我が国自身の安全保障面での能力強化に取り組んでいくとともに、
能力強化って具体的に何をするんだろう,というのはなかなか分からなかった.分野別戦略(リンク先は情報通信分野)などを見ても,実現のための具体的な手法は書かれていない.国家も企業とあまり変わらないようなことをしていて面白かった.分野別の戦略資料も既定のフォーマットに沿ったものでもなく,特色がでていて人間味を感じた.
1-3 日本の宇宙政策について
宇宙基本法が制定されてからの年表が記載されている.どのような遍歴をたどっているのか気になる人は参考になるかと思う.
1章の中で,最も宇宙基本法に触れている部分であり,「安全保障」「産業振興」「科学技術」といったワードが頻発する.予算バランスの不均等さや人員減少,事業の撤退など,宇宙開発利用の停滞について渋めに書かれている.
また,新興国の台頭による国家のパワーバランスや技術レベルの変化による環境の変化も踏まえ,自民党提言を行ったことが書かれている.筆者が作成した資料も記載されている.提言の成果もあり,準天頂衛星システムが7機体制になったようで驚いた.
政策は,宇宙基本計画・工程表に沿って行われるそうで,最新の工程表には,最初に総括表が記載されている.Redmineみたいな線引きで胃が痛くなった.
その他,具体的な実施方針や宇宙2法についての提言なども記載している.この提言のいくらが現段階で採択されているのかは少し気になるところだ.
1-4 国家戦略遂行に向けた重要課題
大きく分けて7つが簡潔にまとめられているので,次章に向けて少し頭に入れておくことにする.
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ここまで読んでみて
最初は何が何やらな始まり方に感じたが,こうやって書き出して,調べながらちょっとずつ読み進めていくと「あぁ,こういうのを踏まえて書いているんだな」というのが分かる内容ではあった.
資料については重要なワードが箇条書きで書いている印象.円などで区切られている為,どの用語がどの戦略に紐づいているのかが直感的に分かりやすいのがよかった.
この1冊ですべてがわかる,という本でもないので,”記載内容が薄いなぁ”と感じたら都度調べるのが良いのだろう.
全章読み終えたら改めてまとめる想定.
次↓