【読了】そして二人だけになった を読み終わりました
航空~のほうは,書き起こすのがおっくうになってきました.
ので,小説でリハビリです.
ミステリーだけどネタバレ書くので,知りたくない人は注意してください.
かかった時間:3:20
ページ数 :556p
大体1hで170p近く読んでました.ななめ読みしてたかなぁ…
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座標科学でわかる航空管制を読み始めます
非常に気が進まないのですが,座標系から航空について学んでいこうかと思います.
目的
飛行機などの航空管制を例に,実際に航空系ではどのような知識が使用されているのかを知る.
読書計画
1日の読書時間:6:30
1hの読書量 :10.5p
4日で読み終えたいです.
まとめは2日(13時間)くらいを掛けようかと思っています.
計算は,手計算でもいいけど,プログラムも組もうかな.
今が一番若いし,後悔に費やしたくないな.
そう言い聞かせてがんばります.
【読了】新・宇宙戦略概論(初版) 6章を読み終えた
タイトル通り,新・宇宙戦略概論 の6章を読み終えたので記録する.
ようやく読み終わり.
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計測
かかった時間:2:30(計:19:34)
ページ数 :34p(計:219p)
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雑記
5章の内容まとめ
日本が,サイバーセキュリティ対策について考えるようになったのは最近である.したがって,まずはサイバー攻撃の現状について知ることが重要となる.
近年,技術の発達が急速に進み,サイバーセキュリティリスクが高まっている.場合によっては,命にかかわるほど重篤な被害をもたらすことが懸念される.
例として,米国におけるサイバー攻撃と,防御技術について紹介されている.軍事施設へのサイバー攻撃も実際に行われた例があり,その危険性を知ることができる.
また,社会インフラの麻痺などの被害も十分に想定される.実際,2013年には米国の各種インフラにおいて,総括257件のサイバー攻撃が報告されている.
サイバー攻撃を防ぐためには,各分野ごとの対応能力を挙げる,想定されるリスクに対する考慮をガイドライン等に含める,などが必要である.日本の所有する技術力の強みや弱みを把握し,それらを活かした戦略を立てることが不可欠となる.
↓前の記事
6章「グローバルコモンズの未来設計」
この章は,1-5章までを鑑みて,筆者が想う未来予想図について記載されている.
6-1 「21世紀の未来学」
この節では,2100年の科学ライフを元に,筆者が展望する未来を表形式で紹介している.もうすぐ手の届くだろう科学技術から,夢のある展望まで様々である.
6-2 「宇宙の未来設計図」
この節では直近(2017年当時)の宇宙基本計画について述べられている.大体が1-5章で言及されていることなのだが,その中に「東京オリンピックを契機とした先導的社会実験」というものが含まれている.宇宙基本計画工程表(平成30年度改訂)によると,以下の取り組みが検討されているようだ.
https://www.meti.go.jp/shingikai/kempatsushin/uchu_koku/pdf/011_s04_05.pdf より抜粋
また,筆者からの方策の提案として,「安全保障」「産業振興」「科学技術」について言及されている.「安全保障」については,これまで本のなかで考察されたものがほとんどである.
「産業振興」アジア・太平洋の顧客を獲得することが提案されている.また,高品質な射場や試験場,宇宙船の発着場を構築し,国際衛星登録機関を誘致する,宇宙エレベータを実現させる,などについて言及されている.
「科学技術」日本が保有する技術を用いた観測によるミッションの遂行,衛星の寿命を延ばす等で費用対効果を高める,火星への移住計画の検討などが挙げられている.太陽膨張で確実に滅ぶし,その前に温室化でお亡くなりになるかもしれないので,移住についてはちゃんと準備しておいてほしいと思う.
6-3 「航空の未来設計図」
航空産業は総合技術力が如実にあらわれる分野である.
筆者はSWOT分析などを行い,強みや弱みの分析,機会や脅威についての考察を行っている.コストの割には需要がなく,また人材育成などへの取り組みも弱いというところが弱みになっている.
安全保障に注力したり,技術力を高めたりすると,市場も広がりそうだというのは,想像に難くない.私としては,無線通信技術に力を入れるべきではないかと思っている.(個人の感想です) かっこいいから.
あとは,課題と戦略が簡素にまとめられている.航空,と一口に言っても,「どこに使うか」「ソフトウェアの技術」「ハードウェアの技術」など,様々考察しなければならないので,裾野が広いと最初に前置きされている意味は分かる.
6-4 「海洋の未来設計図」
サイバー空間も含めた海洋分野の宇宙利用について書かれている.
ここでは,4章で触れられていることを簡潔にまとめつつ,筆者の考える戦略が提案されている.
所感
楽しいことが大好きなのは,あたりまえのことだ.性別も関係ないし,年齢も関係ない.(私は「男のロマン」「女のロマン」などという主語のでかい言葉が大嫌いだ.)
「科学技術の発達」に込める夢を語るために,実例を振り返り,体制を立て,各分野サポートしながら次に進んでいくんだと思う.どこか1分野だけ頑張っても実現できない,当たり前だが戦略なんて手段でしかない.また,戦略や方策を共有せず,志を共にできるわけがない.
将来展望については,突拍子もないことに聞こえてしまう人も多いのだろうと思う.しかし,事実を知ると,実は夢物語でもない,というのが少しは納得できるのではないだろうか.
技術書を読む前に,こういう本が読めてよかった.
ふりかえり
今まで書いた記事を見ましたが,読書の時にページに貼ってるでかい付箋そのままが体現されていました.読み方の癖が表れていてちょっと恥ずかしいな.
よかったところ
・本にメモや付箋をほとんど張り付ける必要がなく,PC上で完結できた
・関連資料をネットで探した後,該当箇所にリンクとして貼り付けられる
・オープンな場で書くことで,継続しなければ,という意思が働いた
・文字に起こすことで,文字検索がしやすくなった
きになったところ
・色付けや図挿入が活かせなかった
・出先で同じスタイルができるかが微妙
・一日の読書活動量にばらつきがある
・書いたものを読み直すかと言われると微妙
検討事項
①色使いや図挿入が活用されていない.今後どのように活用するか.
読んだことが想像しやすくなるようなまとめかたをしたいな.
文字を動画にするようなイメージでまとめられたらいいなぁと漠然と思っています.
こういうの,手書きノートだったら楽なんだけど…と考えてひらめきました.
自由帳にいったん手書きでまとめればいいだけじゃん.
ブログに書き起こすときは清書,みたいな心持で書くといいかな.
そうしたら,きになるところで挙げた,
・色付けや図挿入が活かせなかった
・出先で同じスタイルができるかが微妙
が改善されるかも.
②この度の本は35ページ前後で章立てされていたので書きやすかったが,章の内容量にばらつきのある本も当然ある.その時はどのように分けるか.
2つ案を思いつきました.
1.下書き状態で書き進め,章が終わるごとに更新
(1日の読書活動量が不明瞭にならないか,更新頻度が下がってしまいモチベーションが保てなくならないか)
2.ひとまずその日読んだ部分までを記事にする
(単独で見たときに前後の繋がりが分かりづらくないか)
色々考えて,2を採用することにしました.これは,きになるところで挙げた,
・一日の読書活動量にばらつきがある
・書いたものを読み直すかと言われると微妙
の改善を考慮した結果です.
まずは1日の読書状況の把握,これを行いながら読書計画を修正していきます.
そして,読書中の記録はすべてメモ同様の扱いをします.
章の終わりに「まとめ」を書きます.こういうひな形でやってきます.
反省
「まとめ」については箇条書きで極簡素にまとめられるように気を付けます.
今回はすごく冗長でわかりづらかった.
小悪魔女子大生くらいイメージがはっきりつくようなものを心がけてみます.
数式とかは,どうしても冗長になってしまうかと思いますが…適度に妥協しつつがんばります.
あと,技術書に関しては1時間で11p強も読めることなんて極めて稀だろうから,1日の読書時間を増やして対応することを考えなきゃいけないのが難しい!
新・宇宙戦略概論(初版) 5章を読み終えた
タイトル通り,新・宇宙戦略概論 の5章を読み終えたので記録する.
航空宇宙技術について学ぶ上で,政治的な内容を知っておくことの重要性を感じる.どういった機関が存在し,どういった実例があるのか,どういった戦略で開発が行われているのか,について重点的に触れられているのでなかなかの良書だと思う.
少なくとも,1からネットサーフィンで把握するよりもかなり整った道を通ることができるのではないだろうか.
最近よく聞く,国家安全保障関連のニュースも少しは理解できるようになってきました.
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計測
かかった時間:4:30(計:17:04)
ページ数 :37p(計:182p)
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雑記
4章の内容まとめ
宇宙利用の関わる安全保障戦略について,現状と提案を記載している章.
節ごとに具体例を分けて記載している.ので,他の章に比べて小項目が多い.
衛星情報活用の大きなネックは「情報の一元化・共有」というところにある.まずは情報の管理体制について.情報収集衛星の管理は内閣衛星情報センターが管理している.収集データ例はJAXAのホームページを見るとわかりやすい.
取得した情報については,各省庁ごとに利用されている.例えば,気象庁なら気象衛星の情報などを扱っているので想像しやすい.
この”利用データ”の共有については,利用元の管理となっている為に一元管理がされていない,というところが課題として挙げられているようだ.
ただ,収集したデータをすべて共有するというのはリスクが高い.そこで,「公開データ」「秘密データ」というように,公開範囲を制限することが提案されている.
また,日本・米国などがそれぞれ独自に収集しているデータについては,互いに共有することが提案されている.ミサイルやテロ行為などの早期発見を促す目的.
軍事通信については,新規のXバンド通信衛星の導入について言及されている.従来使用していたスカパー保有の商用衛星が設計寿命を終える為.
課題としては,通信衛星のスペック(光通信/量子通信衛星技術の採用),グローバルな活動を行うための法整備などが挙げられている.
この節で挙げられている推進方策が,上記課題をどう解決するのか理解できなかった.結局情報の一元管理・共有を行うことでどのような解決がなされるのかというところが提示されていたら,分かりやすかったかもしれない.
宇宙状況把握(SSA)について.まず宇宙状況把握というのは,宇宙空間における衛星軌道上の物体を把握すること,と大まかに覚えた.現状,監視用センサが国内2か所しかない.また,スペック的にもSSAに用いるには不十分である.
解決策として,既存の観測設備の能力向上が提案されている.そのほかに,自衛隊がXバンド防衛通信衛星の監視を行うための設備を配備することが挙げられている.
ほかにもSSAには課題がある.「一元管理する組織」と「SSAセンター機能」の連携.米国との連携.秘密データ,公開データの運用.衛星情報の取り扱いに関する共通の課題である.
SSA特有の課題としては,スペースデブリ増加の防止,除去などが挙げられている.対策として,SSAセンターなどを設立し,宇宙状況把握の強化が提案されている.
海洋状況把握(MDA)については,海洋セキュリティ分野について,重点的に書かれている.セキュリティに絞ると,宇宙利用による「不審船/違法船の監視」「EEZ海域の監視」「船舶の常続的な監視」について検討されている.
MDA特有の課題としては,EEZ海域の常続監視のため,係留型飛行船の配置が挙げられている.係留型飛行船という単語になじみがないが,ようはレーダー機能を備えた,無人の停泊飛行船のようなものらしい.(関係ないがこのニュースは笑ってしまった)
また,超小型衛星群の構築なども検討されているらしい.超小型衛星の構築については,日本の得意とするところらしく,構築が容易であると記載されている.ちょっと前の話ですが.きぼうが放出した超小型衛星4機は九州工業大学他が開発したものでしたね.
大規模津波災害についての記載は,世相を考慮したもの感が強かったので言及しない.
後半2節では自律的打ち上げについての課題の記載と提案がされている.
現状,防衛のために日本が独自判断で迎撃ミサイルの打ち上げを行うなどが難しいらしい.これでは,本全体で重点が置かれている「国家安全保障」としての機能が大きく制限されることになってしまうのは確かに自明だと感じた.また,確実に打ち上げが成功しなければならない,国際協力のできる技術力でなければならないなど,課題が多い.
これについて筆者は,将来的に輸送手段で日本がリーダーシップをとりグローバルに参入していくような方策を提案している.
ほかにも,射場がすくないという物理的な課題を抱えており,周囲に民家や原子力発電所がない射場を検討していくべきだと述べている.
総合すると,まずは,安全保障にかかわる各情報の「一元管理」,そして「公開データ/秘密データの公開制限」が大きな課題になっている.というところで〆られている.
自分はこの〆方については少しモヤモヤするものがあって,どちらかというと,国際的に需要のあるポジションにつけていないが為に制約が多いので,短期的には国内で連携をとりましょう,長期的には国際競争に勝てるレベルの技術力を身に着けていきましょう,というゴールのほうがしっくりくる気がした.(個人の所感です)
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雑記
5章「安全保障と我が国の電磁サイバー戦略」
5-1 電磁サイバー攻撃の現状
IoTやAIなどの新技術により,サイバー攻撃による被害がより深刻になってきてる.将来を展望すると,今以上のリスクになることが予測される.そこで,サイバーセキュリティの強化に宇宙利用も活用する必要がある.
現状,技術の急速な発展におけるサイバーセキュリティリスクや,大量破壊兵器拡散の脅威,国際テロやグローバルコモンズ(人類すべてで共有している資源,サイバー空間なども含む)におけるリスクなど,さまざまな課題を抱えている.
米空軍では,以下6つの「宇宙空間からの脅威」を想定している.
- 地上システムへの攻撃
- 無線(RF)ジャミング Radio Frequency,無線通信に利用できる周波数帯
- レーザ攻撃
- EMP(電磁パルスのこと)
- 衛星攻撃(ASAT)
- 情報操作(IO)
本では,これらについての防衛策,攻撃策それぞれについても極わずかに触れられている.
サイバー空間でのリスクは様々あり,具体例を挙げると以下である.
「情報システムへのハッキング等(個人情報の不正取得など)」「制御システムへのハッキング等(ECUへの攻撃など)」「無線システムの不正利用(認証のない機器を使用するなど)」ほかに,サプライチェーンでは,出荷までの各工程で不正データの混入リスクなども考慮されているようだ.
こういうのもあるのか,というところで,高高度での核爆発.直接被害をもたらすわけではないが,発生した電磁波を利用して各種インフラを攻撃する.HEMP攻撃というらしい.初めて知った.
その他,軍事施設へのサイバーテロなど.
5-2 電磁サイバー攻撃・防御技術
この節では,国内で起きたAPT攻撃などの事例を紹介している.
サイバー攻撃の種類や,攻撃プロセス,防御について表にまとめらているのでここで言及はしない.
5-3 重要社会インフラの脅威
実際に米国で実例があるインフラへのサイバー攻撃として,意図的電磁波妨害が挙げられている.
電磁波妨害はおおきく2つに分けられる.「放射」「伝導」
また,特性としては「狭帯域」「広帯域」の2つがある.
コンピュータを使用した各帯域の実験も行われている.
その他,対策については現状のセキュリティ対策に準じたものが多数な印象を受けた.
このあたりは,戦略概論で扱うよりもセキュリティ関連の書籍で詳細を追った方が楽しいと思う.(私はこの辺の書籍を有していないので,また積み本が増えそう.)
5-4 軍事インフラの脅威
「脅威」と銘打ってはいるが,各国の攻撃技術の紹介が主な節.
米国のサイバー攻撃技術として以下2つが紹介されている.
「NCCT」複数のセンサネットワークで,標的の特定などを行ったり,攻撃指示をする.
「Suterシステム」索敵情報の収集を行うブロック1と妨害データを放射するブロック2より構成される攻撃システム
また,電磁サイバー攻撃例が記載されている.ロシアや米国は,すでに実戦にてサイバー攻撃を行っているようだ.すでに実例が多数あることに驚く.
他に,電磁サイバー環境について触れられている.
磁気嵐が地球に到達し,通信などに影響がでるレベルの太陽フレアが発生した場合,米国では情報を出して注意を促している.日本でも宇宙天気情報センターが,情報を提供している.
5-5 新時代の電磁サイバー戦略
日本では,サイバーセキュリティ基本法というものがある.この法律を元にサイバーセキュリティ戦略を定めているようだ.
目指すべきところは「サイバーセキュリティ立国」の実現だそうで,「情報の自由な流通の確保」「リスク対処」「リスクへの対応強化」「社会的責務を踏まえた行動と共助」ということだ.
全体的にはSWOT分析での強みと弱み把握,対応の強化,などがなされているようだ.対応強化については,具体的に,各法律に乗っ取った,新たな政策の制定や,サイバー関連プロジェクトの基本計画・工程表の作成.(産業界が投資しやすい環境の作成),プロジェクトの優先付け,法律の強化,国の体制強化というところが挙げられている.
雑感
この章はかなり面白かった.実例が多く掲載されており,そのまま書いてしまうと引用ばかりになってしまいそうなので控えた.
全体的に,1章よりも資料がかなり分かりやすく感じる.文章で表現するのはなかなか大変な内容だったと思う.
特に,電磁サイバー関連の説明については,図などがあるとわかりやすいかと思った.ハードの知識などがない人がみたら混乱を招く可能性を考慮し,最低限の言及にとどめているように感じた.
宇宙利用をするにあたって,どのようなサイバー攻撃がされているか,今後どのような攻撃が予想されるか,わが国ではどのような戦略を立てているのかがわかりやすかった.
↓次の記事
新・宇宙戦略概論(初版) 4章を読み終えた
タイトル通り,新・宇宙戦略概論 の4章を読み終えたので記録する.
疲れてきた.エビデンスこの記事にまったく記載してないけど,本読めば大体載ってると思います.
明日からは別の本に移行したい.
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計測
かかった時間:2:30(計:12:34)
ページ数 :36p(計:141p)
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雑記
3章の内容まとめ
現状の宇宙利用について,大きく5分野に分けることができる.中でも不振なのが”安全保障”関連の分野である.具体的には高精度偵察,ミサイル監視などの「防衛利用」,災害監視,環境監視などの「防災利用」については現状,宇宙利用がほとんど進んでいない.
宇宙産業は4つに分かることができる.産業規模も併せて以下に引用する.
(https://www8.cao.go.jp/space/comittee/27-sangyou/sangyou-dai3/siryou2.pdf より引用)
宇宙機器産業を基盤に,それを利用した各種サービスの関係性が少し分かるのではないだろうか.中でも「衛星通信」などのサービス業が大きな産業規模であることが伺える.
しかし,宇宙産業に参入することは容易ではなく,民間企業の動きは遅い.新規参入を促すために以下のような施策が用いられているようだ.
- 衛星・ロケットのコスト削減
- 無償の施設・試験用データの提供
- JAXAなどの技術支援 など
今後日本が,世界全体の需要を獲得するためには,技術の推進や現状の市場ニーズへの対応,確実なミッション達成,遂行への対応や環境整備が必要である.
諸外国においても,各々特徴的な宇宙開発が進められている.
自分なりにまとめた部分も結構あるので,個人メモ程度.
前の記事↓
4章「安全保障と宇宙海洋戦略」
前書きにて,宇宙・海洋戦略の課題をまとめた表が提示される.1-3章でも触れられているものがまとめられているのでおさえておきたい.
4-1 衛星とG空間情報の融合
G空間とは,「位置情報、すなわち『空間上の特定の地点又は区域の位置を示す情報(当該情報に係る時点に関する情報を含む)』または位置情報及び『位置情報に関連づけられた情報』からなる情報」のことである.(情報通信白書(平成25年版)より)
衛星情報について,各省庁が個別に情報収集を行っているらしい.調べたてみたが,どの省庁がなにを情報収集しているかというところが明確には分からなかった.内閣衛星情報センターというところが収集情報を一元管理しているように見受けられた.
ただ,例えば気象庁などは雲の様子などの航空情報のみを利用しており,利用シーンごとの連携がまだまだというところを考察とする.
衛星情報の各省庁,民間での共有に向けては課題が多い.主に法との兼ね合いや,他国との連携がネックのようだ.
4-2 軍事通信手段の確保
「きらめき」で知られる,Xバンド防衛通信衛星.自衛隊は,従来スカパーJSATが保有する商用衛星で通信していた.しかし,使用していた衛星が2015年に設計寿命を迎えることから,2020年までに3機のXバンド通信衛星を打ち上げ利用する想定だったが,現在は2023年に3号の打ち上げが予定されている.2019年現在,きらめき1号と2号が無事打ち上げを終えている.
取得したデータは,各種リスクを考慮し,秘密データと公開データに分けられているそうだ.
4-3 宇宙状況把握(SSA)への対処
民生用では日本宇宙フォーラムが,光学設備,レーダ設備を保有.防衛用センサとしては自衛隊が国内5か所にミサイル監視用レーダを保有している.
宇宙状況把握というのは,宇宙空間にある衛星軌道上の物体を監視すること.JAXAのホームページからは,とくにスペースデブリに焦点を当てた監視をしていることが伺える.
この節では,SSAにおける課題や推進方法が述べられている.米国や欧州のシステムを参考に,情報の一元化など,管理に重点を置いているようだ.
4-4 海洋状況把握(MDA)の対処
この節では,宇宙利用におけるMDAについての現状と課題が述べられている.
MDAとは,海洋政策研究所のホームページによると以下の定義がなされている.
2001年9月11日の同時多発テロ事件を契機に米国ではじまった取り組みであり、国家レベルの問題(防衛、安全、経済等)に影響を与えうる海洋情報を、関係政府機関で効果的に共有するための仕組みである。
本は,特に海洋セキュリティに焦点を当てた内容となっている.
現状,不審船などの監視は,海上保安庁の巡視船や自衛隊の哨戒機(潜航中の潜水艦を発見,攻撃する軍用機)などが行っている.しかし,常に監視できているわけではないので,海洋監視衛星軍などの活用を行うべきだそうだ.
しかし,課題も多い.地理空間情報機能と海洋状況把握機能の連携や,監視機能の充実,データの運用(秘密データ/公開データの管理),取得データの一元化などが挙げられている.
例えば,不審船の監視を考えると,EEZを通るすべての船の情報を迅速に把握しなければならない.また,不審船の情報取得のために,暗号解読作業を行う必要がある.
上記のような課題を解決するために,頻出していることではあるが,国内,国外間の連携や,情報の共有などに焦点を当てた推進方策が示されている.他にも,情報収集衛星などでの観測頻度の向上や,衛星群の構築,伝播収集衛星と現状の監視体制との連携,定点監視などの方策が打ち出されている.
4-5 大規模津波災害への対処
この節は,大規模津波災害に焦点を絞った内容となっている.課題としては,以下が示されている.
これらをを解決するための推進方策として,衛星情報の一元管理,国内外を含めた関係機関との共有が挙げられている.
4-6 自律的打ち上げ手段の確保
自律的打ち上げというのは,日本の独自判断で,必要なときに確実に打ち上げられることを指しているようだ.
4-7 自律性を考慮した射場
現状,国内には種子島,内之浦に射場がある.それぞれ平和利用,科学観測を目的としており,今後は防衛用衛星のための射場の構築などが必要.
射場の構築として,周囲に集落が存在しない,海洋テロの対策などの課題が挙げられている.
4-8 安全保障に係わる国の仕組みの構築(国の体制)
以上の検討例を踏まえて,「国家安全保障会議」「国家安全保障局」が設立されることとなった.
雑感
この章では,主に海洋で行われている安全保障対策について,宇宙利用をからめたさらなる改善案が提示されていたと感じた.
さらなる安全保障のために,各方面でどのような課題を抱えているのかが簡潔にまとめられている印象を受けた.
言ってしまえば,国内外の連携,現状のシステムの能力不足などが根本的な原因ではないかと推測される.軍事的な方面での技術力開発スピードがネックだと感じた.
少し読むのが辛くなってきたが,残り2章で終わるのでなんとか頑張ろうと思う.
↓次の記事
新・宇宙戦略概論(初版) 3章を読み終えた
タイトル通り,新・宇宙戦略概論 の3章を読み終えたので記録する.
今までの記事を2人の知人に見せたところ,昨日の記事は,本の内容が分からなくても一応読めると言われたので,同じ体裁で書くことにした.
あまり触れていなかったが,この本は2017年に発行されたものであり,日々進歩する宇宙開発の現状からどのくらい乖離しているのかは精査する必要があると思っている.しかし,そこまですると永遠に積読状態になりそうなのでひとまずこの本での理解にとどめておくこととする.
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計測
かかった時間:3:30(計:10:04)
ページ数 :35p(計:102p)
単純計算,1hに約10pほど読んでいるようだ.
マイペースに頑張りたい.
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雑記
2章の内容まとめ
日本における宇宙開発は,GHQの指示により約7年間の空白が生まれた.その後の朝鮮戦争を皮切りに再び開発が再開される.米国との技術協力もありながら今日まで成長を続け,他国に比べ遅れていた分を挽回し,世界の宇宙産業としても,米国.欧州に次いでリードしているという現状に至った.
宇宙開発を再開する中で,政策については「科学技術の向上」に力を入れ続けた為に,政策の偏向が指摘されるようになる(後述).米国と技術協力する条件に含まれる「非軍事利用」による過去の制約は,安全保障とは一線を画した研究開発を引き起こし,その際生まれた歪が現代にも影響を与えている.
米国との協力もありロケットや衛星の打ち上げが次々成功していく中,次第に独自の技術によるロケット開発も行われるようになる.独自の開発として,先進的な液体水素/液体酸素を使用したエンジン技術開発が行われた.だが,失敗が続き,風当たりが一層強くなってしまう.
その他にも,日米衛星調合合意により,通信衛星や放送衛星を国際調達するようになり,国内での需要が減少する.また,米国企業から仮契約を取っていた,30機の衛星打ち上げの契約解除などが続き,宇宙開発全体が苦境に立たされることとなった.
厳しい状況が続く中,1990年代後半より,日本の宇宙開発にかかわる国家の体制不備を指摘する声が多く上がるようになる.主に「宇宙開発の研究/開発への偏重」「宇宙利用/産業での遅れ」「安全保障面での宇宙利用」「宇宙政策を推進する国家体制の不備」などが挙げられた.
上記を踏まえ,様々な遍歴を経て2008年に「宇宙基本法」が制定されるに至った.
自分なりにまとめた部分も結構あるので,個人メモ程度.
前の記事↓
3章「日本の宇宙産業」
3-1 我が国の宇宙利用
この節では,具体的な宇宙産業について触れられている.
再三出現した「宇宙利用」とはどのようなものか.筆者は以下の5分野を挙げている.
- 観測地点としての宇宙
- 中継地点としての宇宙
- 宇宙としての宇宙
- 産業波及としての宇宙
- 安全保障としての宇宙
詳細はp.79-80に表としてまとめられている.自分は,この表が大変分かりやすく感じた.
実際に宇宙利用が進んでいるものとして,”観測地点としての宇宙”に分類される「衛星測位(測位,GPS,携帯地図情報など)」,”中継地点としての宇宙”に分類される「衛星通信放送(スカパー,航空,遠隔医療など)」,”産業波及としての宇宙”に分類される「民生用宇宙機器(BSテレビ,カーナビ,GPS携帯など)」の3項目を挙げている.
そして,上記5分野の中で,もっとも宇宙利用が進んでいないのが”安全保障としての宇宙”としている.
この中には,ミサイル監視などの防衛行為や,地震/津波などの災害監視などが含まれており,難易度の高さが伺える.
日本の宇宙利用ビジネスとして,やはり衛星を用いた電波の広域利用が多い印象を持った.例として8つほど具体例が挙げられているが,その中でも,宇宙へ持っていき,無事帰還した酵母を使った「土佐宇宙酒」が異彩を放っていて面白い.
そういえば,日本科学未来館で「宇宙グミキャンディー」を購入して食べたことがある.ヨーグルトをソーダで割ったような優しい甘さでとてもおいしかった.(こうしてお金を落とす人がいる時点でビジネスだなと思う.)
3-2 宇宙産業の動向
宇宙産業は「宇宙機器産業」「宇宙利用サービス産業」「宇宙関連民生機器産業」「ユーザ産業群」*1の4つの階層からなっている.
宇宙産業の特徴についてはp.83の表にまとめられている.すべて引用で書くわけにもいかないので,大きくまとめると,他産業に見られないものが多い.特に,インフラ産業や観測,宇宙空間という特殊な環境での産業活動などが挙げられている.
宇宙産業の現状についても同ページに記載されているが,宇宙インフラがあまり発達していないように見受けられた.
現状,宇宙産業は民間企業の参入が少なく,あまり活性化しているとは言えない.対策として,衛星やロケットのコストを安くする,無償の設備・試験用データの提供,JAXAなどによる技術支援も行っているようだ.
また,海外システムメーカーの下請けなどから受注拡大をする戦略も組まれている.
筆者は「民生技術の活用と要素技術の開発」について,以下のように記載している.
日本版DARPA的な失敗を恐れない組織を設立し,安全保障/産業振興のための要素技術開発を行う。
ここについては少し思うことがある.2章で歴史を振り返ってみると,相次ぐ失敗による予算削減や商業的損失などに触れている.これを踏まえてなお失敗を恐れない組織の設立,というのは少し気になった.これは米国の国力が高いからこそ成せることでもあるのではないか.日本の国力でどのように賄うかというのは非常に難しい問題なのではないかと感じた.
3-3 世界を制する宇宙技術の獲得
冒頭で, 日本の保有する宇宙技術はなにか,今後獲得すべき重要技術はなにか,というのを整理して重点的に投資する必要があると筆者は述べている.
他国では,すでにある汎用技術を組み合わせて,コストパフォーマンスを抑えながら技術開発を行っている.すでに持っている技術,今後獲得すべき技術をおさえておくことで,国際競争力を強化する必要がある.
現状の日本が保有する技術・獲得すべき技術については,p.86後半 - p.94に渡って記載されている.保有している技術については分かりづらい部分が多いが,必要な技術として分野ごと確認する分には簡潔にまとめられていると感じた.
3-4 世界の宇宙開発最前線
この節では,各国の宇宙開発実績などを紹介している.
中国では,次期有人飛行船の実験機の打ち上げが成功しており,国内の有人飛行計画が進んでいるようだ.その他大型ロケット,新型ロケットの打ち上げなど,着々と宇宙開発が進んでいる.
北朝鮮では,短いスパンで弾道ミサイルの発射実験が行われている.2009年以降はIMOやICAOに発射の事前通告を行っているようだが,日本を含む周辺国では,弾道ミサイル発射実験と見なし警戒している.
ロシアでは,アラガンロケットの打ち上げや,新規宇宙基地の建設などによりさらなる自立性を高めている.
その他,欧州,米国でも宇宙開発が進んでおり,とくに米国では巨額の開発費用を投じ,火星の有人探査計画の準備を進めている.
雑感
宇宙産業について,特に具体的に書かれている章だった.国際競争に身を投じる戦略については,コンパクトにまとめられている印象を受けた.
企業がそれぞれの分野でどのようなサービスを行っているかがわかりやすかった.
例えば,ドミノピザの追跡サービスや衛星放送などはなじみ深いが,逆に宇宙空間での人工オパール開発は聞いたことがなく,こういったこともしているのかと関心を持った.
戦略的な取り組みが,企業における考え方と同じように感じた.他国ではどのような戦略を立てているのかが気になる.独自開発が上手くいっているところではアイディアが大切だろうし,日本のように他国に後れを取っているところでは,技術の向上のほかに,国内/国外での需要の拡大が大切だろうし,私には非常に難しいことのように感じてしまう.
3章では表が多く活用されており,筆者が文中で述べている内容についての理解が深まった.
全体的に面白い話が多く,宇宙産業と言われたときにどのようなものがあるか,というところが想像しやすくなった.
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*1:宇宙産業の現状と課題について 平成28年8月 製造産業局宇宙産業室 p.4 でも言及
新・宇宙戦略概論(初版) 2章を読み終えた
タイトル通り,新・宇宙戦略概論 の2章を読み終えたので記録する.
試行錯誤しながら体裁を整えているので,昨日の雑記と併せて見ると統一性がない.
歴史は苦手です.
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計測
かかった時間:3:40
ページ数 :32p(計:73p)
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雑記
1章の内容まとめ
宇宙政策は4つの階層からなり,1層目には宇宙基本法/宇宙2法*1を基盤とした国家戦略がある.国家安全保障戦略をからめながら,定期的に改正される仕組み.
何故,国家安全保障を絡めているかというと,宇宙政策には国家安全保障の目標が非常に大きくかかわっているからだ.
目標は以下の3つ.
- 平和と安全を維持し,必要な抑止力を強化し,わが国に直接脅威が及ぶことを防止する
- 日米同盟を強化し,アジア太平洋地域の安全保障環境を改善し,直接的な脅威の発生を予防・削減する
- 国際秩序を強化し,紛争の解決に主導的な役割を果たし,平和で安定し反映する国際社会を構築する
こうしてみると,人工衛星やロケットの所持・開発などが大きな影響を与えることがわかる.
上記3つの目標を達成するためには国自体が安定した社会基盤を持つことが必須で,そのための政策が”公共政策”である.
国家戦略遂行においては,「安定した社会基盤」「国民の所得/資産など」「領土・領海」を考慮している.
ただ,国家安全保障上の課題も大きく6つ抱えている.その中でも宇宙・海洋分野においては,「グローバルコモンズに関するリスクへの対処」「情報機能の強化」が挙げられている.
2008年に"宇宙基本法"が制定されてから,提言等を受け修正されながら現在に至っている.現在,日本における宇宙開発・利用は「安全保障」「産業振興」「科学技術」を主体としている.
宇宙政策が抱える課題として,筆者は「予算配分バランスの偏り」「人員減少/民間企業の撤退」などを挙げており,対策として「予算配分の見直し」「開発計画の未確定などを解消する」というのが挙げられている.
国家戦略遂行に向けた重要課題は主に以下7つ.
- 宇宙インフラは共有,情報は教養.デュアルユースを推進
- 宇宙状況把握(SSA)システムによる宇宙の監視
- 海洋状況把握(MDA)システムによる海洋の監視
- 基盤ロケット(個体型)としてのイプシロンロケットの推進
- 安全性・セキュリティを考慮した新射場の構築
- 早期警戒衛機能構築に向けた検討の加速
- 宇宙利用による防衛能力の強化
各内容については割愛.
自分なりにまとめた部分も結構あるので,個人メモ程度.
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2章「日本の宇宙開発の歩み」
2章前書きでは,糸川氏のペンシルロケットを皮切りとした歴史が書かれている.
文章でも読めるが,このあたりは素直にネットでググって年表などを見た方がわかりやすいかと思う.この本の後半にも,付録として年表が記載されている.(京都大学某組織はこういうものを作ってくれている)
2-1 日本の宇宙開発の歴史
この節では,航空機の開発禁止からの,日本の宇宙開発の歴史について触れられている.
敗戦後,GHQの命令ですべての航空機製造・研究などが禁止された.しかし,朝鮮戦争が起こり命令を解除.さらに同時期に,サンフランシスコ対日平和条約が発効され,日本に航空の主権が返還された.ブランクは7年ほど.
糸川教授の奮闘により,ペンシルロケットやその他固体ロケット,衛星の開発が行われた.また,ペンシルロケット打ち上げの後,科学技術庁が「宇宙開発推進本部」を設立.紆余曲折を経て”科学分野”,”実用利分野”の2つでゼロからの歩みを始めた.
以降,細かな出来事まで記載すると蛇足になりそうなので,年代ごとに概要のみ記載する.
1970-80年代 各種衛星の打ち上げ,観測を行い,世界的に評価されたようだ.
1980-90年代 技術基盤の確立に向けて,メーカーなども含めて打ち上げ・ミッションの成功を続けた.中には失敗もあったがフィードバックとして原因究明と技術力向上に努めたようだ.
1999-現在まで 宇宙商業化や国際競争力向上へむけて努力している面が大きいようだ.
2-2 歴史的なターニングポイントと今後
この節は”液体ロケット”の開発を中心とした内容から始まる.
液体ロケットの主な開発研究は「液体エンジン」「ロケットの誘導・姿勢制御技術」の2点を主体としている.いずれも”固体ロケット”開発にはない技術だ.
この2点は,「LS-Cロケット(1段固体エンジン/2段液体エンジンの2段式ロケット)」の開発や,「JCRロケット(2段式固体ロケット)」の姿勢制御にかかわる大きな技術である.
技術開発を進め,固体ロケットにおいて「ソ連」「米国」「フランス」に次いで,日本は4番目に人工衛星を打ち上げた国になった.一方で,米国の技術力を目の当たりにした日本は1969年に「宇宙開発に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協力に関する交換公文」を発行し,条件付きで協力関係を結ぶ.
条件としては「非軍事利用」「米国技術の他国への流出の防止」が目立つように感じる.「非軍事利用」について筆者は,米国の日本への警戒姿勢という見方をしているようだ.この「非軍事利用」を考慮していたために,安全保障に用いるという観点が精査されていなかったのは,のちの発展においてかなりの痛手だったようだ.
米国からの技術導入により,日本の衛星打ち上げ等の能力も増した.この間に,国全体の宇宙開発方針が制定されてきたのだが,時がたつにつれ設定事項の偏りが目立ってきた.具体的には「技術開発中心の宇宙開発の性向」が顕在化した.
また通信衛星大型化を見据えた衛星,ロケットの大型化や,予算を抑えるための米国依存技術の脱却を大いに考慮したものになったようだ.
米国依存技術からの脱却として,ケロシン(灯油)を燃料にするのではなく,「液体水素」を利用したロケットの開発の独自開発が行われることとなった.冠にHとつくものがそれにあたる.
独自開発では仕方がないように思える”失敗”について,マスコミや一般からは厳しい声があがり,前身となるH-Ⅱロケットの開発は中止された.しかし,後続となるH-ⅡAロケットの開発は行われており,厳しい声に応えるかのようなコストダウンが課題となっているようだ.
相次ぐ失敗や関連組織の廃止,そして研究開発に重点をおいたJAXAの発足により「産業化」から遠ざかっていることを筆者は憂いているように感じる.
そして小項目「官民連携による宇宙事業展開の動きと挫折」を読むと,政府,民間企業など73社が多大の出資をし設立したロケットシステムという会社が,米国企業から衛星30機の打ち上げについて仮契約を受けてから契約解除になるまでに触れられている.
すんでのところで転落に至った過程を思うとかなり切ない.投資の失敗と言ってしまえばそうなのだろうが...
また,日米協力による中型ロケット開発についても触れらており,”宇宙開発の産業化”がいかに困難であるかを垣間見ることができる.
1990年代になると,ようやく国家の体制不備を指摘する声があがった.「技術開発に偏った政策」「国際情勢の変化」「国家戦略としての総合的な宇宙政策の企画立案」など,考慮不足な部分に対する対応が必要になってくる.
「国際宇宙戦略懇話会」の設立,1年の協議を経て,宇宙基本法などに言及した報告書が提出された.
大まかに書くと,宇宙開発の重要性,宇宙基本法制定の重要性,非軍事利用に固着した開発のデメリット,衛星軍事利用の一般化,などについて言及されている.
協議の甲斐もあり2008年5月に「宇宙基本法」が成立することとなった.節の締めに今後の課題として以下3点が挙げられている.
将来宇宙ヴィジョン創成のための全体像を描くこと
人類活躍の場としての,従来の[陸・海・空]に新たに[宇宙・情報/サイバー]空間を加えた5次元の空間の中の1つとして宇宙を認識すること
全地球的俯瞰に立ち,少なくとのアジア・環太平洋圏の恒久的な平和維持活動は我が国の責務と認識すること
5次元空間という言葉がいささか引っかかる.陸1つで1次元というわけでもないのでは…と突込みを入れたくなった.(複合的に考えたときに各分野を1次元として換算してくれ,みたいな概念的な意味はわかるのですが…) 浅学で突っ込むのもおこがましいのでメモに残すにとどめます.
2-3 日本の主要ロケット打ち上げ実績
この節には過去のロケット/人工衛星の打ち上げ実績が表として記載されている.打ち上げの成功/失敗が一目でわかるのでとても見やすい.
雑感
ここまで読んで,ようやく「何故,本全体が国家安全保障戦略に重点を置いた内容となっているのか」という疑問が晴れてきた.
過去「科学技術向上」に重点を置きすぎて「産業化の失敗」を経た歴史があるから,ということなのだろう.納得できる部分もある.
「非軍事利用」が,技術発展の妨げになったのではないかという考察も,詳細を知ると納得できるのかもしれない
1章で触れられていた宇宙政策の要である「安全保障」「産業振興」「科学技術」,予算配分バランスの見直し,というところも,2章を読むと(科学技術に偏っているんだろうな...)と考察できる.少なくともこの本1冊だけ読んでいる感じでは.
私は本当に政治に疎く,あまり政府がどうとかいう話にはアンテナが反応しなかった.なので,この本でそういった内容が多いことに新鮮味を感じる.
各分野の見解を総合的に見るというのは非常に難しく,私は政治家には向いていないなぁという思いになれた.対人関係の摩擦がえげつなさそうだというのは想像に難くない.
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