新・宇宙戦略概論(初版) 4章を読み終えた
タイトル通り,新・宇宙戦略概論 の4章を読み終えたので記録する.
疲れてきた.エビデンスこの記事にまったく記載してないけど,本読めば大体載ってると思います.
明日からは別の本に移行したい.
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計測
かかった時間:2:30(計:12:34)
ページ数 :36p(計:141p)
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雑記
3章の内容まとめ
現状の宇宙利用について,大きく5分野に分けることができる.中でも不振なのが”安全保障”関連の分野である.具体的には高精度偵察,ミサイル監視などの「防衛利用」,災害監視,環境監視などの「防災利用」については現状,宇宙利用がほとんど進んでいない.
宇宙産業は4つに分かることができる.産業規模も併せて以下に引用する.
(https://www8.cao.go.jp/space/comittee/27-sangyou/sangyou-dai3/siryou2.pdf より引用)
宇宙機器産業を基盤に,それを利用した各種サービスの関係性が少し分かるのではないだろうか.中でも「衛星通信」などのサービス業が大きな産業規模であることが伺える.
しかし,宇宙産業に参入することは容易ではなく,民間企業の動きは遅い.新規参入を促すために以下のような施策が用いられているようだ.
- 衛星・ロケットのコスト削減
- 無償の施設・試験用データの提供
- JAXAなどの技術支援 など
今後日本が,世界全体の需要を獲得するためには,技術の推進や現状の市場ニーズへの対応,確実なミッション達成,遂行への対応や環境整備が必要である.
諸外国においても,各々特徴的な宇宙開発が進められている.
自分なりにまとめた部分も結構あるので,個人メモ程度.
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4章「安全保障と宇宙海洋戦略」
前書きにて,宇宙・海洋戦略の課題をまとめた表が提示される.1-3章でも触れられているものがまとめられているのでおさえておきたい.
4-1 衛星とG空間情報の融合
G空間とは,「位置情報、すなわち『空間上の特定の地点又は区域の位置を示す情報(当該情報に係る時点に関する情報を含む)』または位置情報及び『位置情報に関連づけられた情報』からなる情報」のことである.(情報通信白書(平成25年版)より)
衛星情報について,各省庁が個別に情報収集を行っているらしい.調べたてみたが,どの省庁がなにを情報収集しているかというところが明確には分からなかった.内閣衛星情報センターというところが収集情報を一元管理しているように見受けられた.
ただ,例えば気象庁などは雲の様子などの航空情報のみを利用しており,利用シーンごとの連携がまだまだというところを考察とする.
衛星情報の各省庁,民間での共有に向けては課題が多い.主に法との兼ね合いや,他国との連携がネックのようだ.
4-2 軍事通信手段の確保
「きらめき」で知られる,Xバンド防衛通信衛星.自衛隊は,従来スカパーJSATが保有する商用衛星で通信していた.しかし,使用していた衛星が2015年に設計寿命を迎えることから,2020年までに3機のXバンド通信衛星を打ち上げ利用する想定だったが,現在は2023年に3号の打ち上げが予定されている.2019年現在,きらめき1号と2号が無事打ち上げを終えている.
取得したデータは,各種リスクを考慮し,秘密データと公開データに分けられているそうだ.
4-3 宇宙状況把握(SSA)への対処
民生用では日本宇宙フォーラムが,光学設備,レーダ設備を保有.防衛用センサとしては自衛隊が国内5か所にミサイル監視用レーダを保有している.
宇宙状況把握というのは,宇宙空間にある衛星軌道上の物体を監視すること.JAXAのホームページからは,とくにスペースデブリに焦点を当てた監視をしていることが伺える.
この節では,SSAにおける課題や推進方法が述べられている.米国や欧州のシステムを参考に,情報の一元化など,管理に重点を置いているようだ.
4-4 海洋状況把握(MDA)の対処
この節では,宇宙利用におけるMDAについての現状と課題が述べられている.
MDAとは,海洋政策研究所のホームページによると以下の定義がなされている.
2001年9月11日の同時多発テロ事件を契機に米国ではじまった取り組みであり、国家レベルの問題(防衛、安全、経済等)に影響を与えうる海洋情報を、関係政府機関で効果的に共有するための仕組みである。
本は,特に海洋セキュリティに焦点を当てた内容となっている.
現状,不審船などの監視は,海上保安庁の巡視船や自衛隊の哨戒機(潜航中の潜水艦を発見,攻撃する軍用機)などが行っている.しかし,常に監視できているわけではないので,海洋監視衛星軍などの活用を行うべきだそうだ.
しかし,課題も多い.地理空間情報機能と海洋状況把握機能の連携や,監視機能の充実,データの運用(秘密データ/公開データの管理),取得データの一元化などが挙げられている.
例えば,不審船の監視を考えると,EEZを通るすべての船の情報を迅速に把握しなければならない.また,不審船の情報取得のために,暗号解読作業を行う必要がある.
上記のような課題を解決するために,頻出していることではあるが,国内,国外間の連携や,情報の共有などに焦点を当てた推進方策が示されている.他にも,情報収集衛星などでの観測頻度の向上や,衛星群の構築,伝播収集衛星と現状の監視体制との連携,定点監視などの方策が打ち出されている.
4-5 大規模津波災害への対処
この節は,大規模津波災害に焦点を絞った内容となっている.課題としては,以下が示されている.
これらをを解決するための推進方策として,衛星情報の一元管理,国内外を含めた関係機関との共有が挙げられている.
4-6 自律的打ち上げ手段の確保
自律的打ち上げというのは,日本の独自判断で,必要なときに確実に打ち上げられることを指しているようだ.
4-7 自律性を考慮した射場
現状,国内には種子島,内之浦に射場がある.それぞれ平和利用,科学観測を目的としており,今後は防衛用衛星のための射場の構築などが必要.
射場の構築として,周囲に集落が存在しない,海洋テロの対策などの課題が挙げられている.
4-8 安全保障に係わる国の仕組みの構築(国の体制)
以上の検討例を踏まえて,「国家安全保障会議」「国家安全保障局」が設立されることとなった.
雑感
この章では,主に海洋で行われている安全保障対策について,宇宙利用をからめたさらなる改善案が提示されていたと感じた.
さらなる安全保障のために,各方面でどのような課題を抱えているのかが簡潔にまとめられている印象を受けた.
言ってしまえば,国内外の連携,現状のシステムの能力不足などが根本的な原因ではないかと推測される.軍事的な方面での技術力開発スピードがネックだと感じた.
少し読むのが辛くなってきたが,残り2章で終わるのでなんとか頑張ろうと思う.
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